92. anecdote (ǽnikdòut)
「anecdote」の意味は「黒のフレーズ」で「逸話」、Weblioではもう少し詳しく「(特定の人物・事件にまつわる)逸話」という意味で紹介されています。
「黒のフレーズ」の著者、藤枝さんはこんなアドバイスをしてくれています:
Part 7のarticleにたまに出てくる単語。知っていれば何ということもないが、知らないと結構悩む。
黒のフレーズ
それでは例文を見ていきましょう:
She cites one viral anecdote that particularly amused her, about a grandmother who threw a jar of pickles at a Russian drone. “People wonder if it’s true,” she says. “But such an absurd situation helps us laugh and calm down.”
Google翻訳:彼女は、ロシアの無人偵察機にピクルスの瓶を投げた祖母について、彼女を特に楽しませたバイラル(口コミで広がっている)な逸話を引用します。 「人々はそれが本当かどうか疑問に思っています」と彼女は言います。 「しかし、そのような不条理な状況は、私たちを笑わせ、落ち着かせるのに役立ちます。」
Aljazeera
本当かどうかわからないけれど、人の心を和ませるお話としての「anecdote」ですね。2022年9月の記事です。
上記の「バイラル」は日本語環境でも現在使われているようです:
バイラルとは、Webマーケティングにおいて「情報が口コミで徐々に拡散していく」さまを形容する語である。
もともと「バイラル」とは英語で「ウィルス(virus)に関係する」「ウィルス性の」という意味を示す語である。あたかもウィルス性の感染症のように、じわじわとユーザー間で口コミが広がっていく、という含意がある。
Weblio
「バイラルマーケティング」という言葉もあるようです。ソーシャルメディアがこれだけ普及している現在の状況を考えると、今後、この「viral」がTOEICで出題されるかもしれません。
「anecdote」に話を戻します。
「黒のフレーズ」の著者、藤枝さんは「a warm anecdote」、「心温まる逸話」という例を紹介していますが、「anecdote」は必ずしも「心が和む」ような話である必要はなく、「本当かどうかわからない話」という意味でも使用されるようです:
For example, one widely reported anecdote during the antiracism protests following the police death of George Floyd was a store owner in Santa Monica, California, who protected his liquor store from looting in June by standing out front with an assault rifle.
DeepL翻訳:例えば、ジョージ・フロイドの警察官殺害事件後の反人種主義デモの際に広く報じられた逸話として、カリフォルニア州サンタモニカの店主が6月にアサルトライフルを持って表に立ち、自分の酒屋を略奪から守ったというものがある。
Fast Company
この例文の「逸話」は単に「話」とした方がいいのかもしれません。逸話の「逸」は「秀逸」(しゅういつ)の「逸」であるだけに、何かポジティブな話か、意外な話を日本語の文脈では期待してしまいます。
そんな「anecdote」に留意しながらVocabulary.comで「anecdote」の語源を見てみましょう:
The roots of anecdote lie in the Greek word anekdota, meaning “unpublished.” The word’s original sense in English was “secret or private stories” — tales not fit for print, so to speak. It can still have connotations of unreliability, as in the phrase “anecdotal information.” But the most common sense today is that of “a funny story about something that happened.”
DeepL翻訳:anecdoteのルーツは、ギリシャ語で「未発表の」という意味のanekdotaである。英語の原義は「秘密の、あるいは私的な物語」であり、いわば印刷に適さない物語である。現在でも、「逸話的情報」という言葉のように、信頼性に欠ける意味合いを持つことがある。しかし、今日最も一般的な意味は、「何か起こったことについての面白い話」である。
Vocabulary.com
上記の「anecdotal information」が「信頼性に欠ける」情報であるということなので「anecdotal」を「逸話的」とするのはおかしいのかもしれません。
「anecdotal information」は「本当かどうかわからないが人々に伝わっている情報」と訳した方がいいのかもしれません。
ただ、最も一般的には「anecdote」は「a funny story about something that happened」ということも覚えておきたいですね。
以上、「anecdote」でした。