今日の英熟語:muddle (mʌ́dl) through
「muddle through」は「出る順で最短合格! 英検®1級 語彙問題完全制覇」の参考書で「~を何とか切り抜ける」という意味ですが、私はまずこの「muddle」を知りませんでした。
「muddle」はWeblioで「(…を)ごたまぜにする、かきまぜる、(…を)(…と)混同する[…]」という意味で、「muddle through」にすると「(計画も良策もなく)どうやら切り抜ける」という意味になるそうです。
「計画も良策もなく」「切り抜ける」ことを確かに「~を何とか切り抜ける」と言うことができます。
この記事では熟語の「muddle through」にこだわらずに「muddle」を掘り下げようと思います。
それではまず「muddle」を含む例文を見ていきましょう:
Stocks struggle with muddled government pandemic responses
DeepL翻訳:混乱する政府のパンデミック対応に株式が苦戦
Reuters
政府のパンデミック対応が「muddle」している、混乱しているから株価が安定しないことを伝える記事です。
他にも見ていきましょう:
In reporting third-quarter results, CEOs and finance chiefs at the five biggest U.S. lenders gave a muddled picture of what to expect.
DeepL翻訳:第3四半期の決算報告で、米国の大手金融機関5社のCEOと財務責任者は、今後の見通しについて混迷した見通しを示した。
Reuters
やはり「muddle」は「混乱している」、「混迷している」状況で使用されるようです。Weblioで「(…を)ごたまぜにする、かきまぜる」という意味が掲載されていますが、何かがーそれが今後の見通しであれ、政府の対応であれ―「ごたまぜ」になっている状態は「muddled」、「混乱した」、「混迷した」状態であるということがわかります。
この、「混乱」しながらも、「ごたまぜ」になりながらも「through」すれば「~を何とか切り抜ける」という熟語、「muddle through」の意味になるのですね。
ところで、この記事を書いていて「マドラー」を思い出しました。あのお酒を混ぜるときのあれです。
日本語で言うところの「マドラー」はこれです:
上の広告写真に写っている日本語の「マドラー」は英語では「long spoon」や「bar spoon」というようです。では英語で「muddler」と言った場合どんな道具なんでしょう。
英語で言うところの「muddler」はWeblioによると「でたらめなやり方をする人、お茶を濁す人」という意味もあるようですが、道具の「muddler」はこれでした:
知らなかった!
この道具の方の「muddler」はWikipediaでこう説明されています:
A muddler is a bartender’s tool, used like a pestle to mash—or muddle—fruits, herbs and spices in the bottom of a glass to release their flavor.
DeepL翻訳:muddlerはバーテンダーの道具であり、果物やハーブ、スパイスをグラスの底でつぶして(muddleして)風味を出すために、乳棒のように使う。
Wikipedia
磨り潰してたり混ぜたりする棒を「muddler」ということがわかりました。
私は冒頭で「今日の英熟語」と書いているので「muddle through」を含む例文も見ておきましょう:
Describing the resilience of Chinese developers as “one of the biggest surprises of the year,” Gradel said property firms had muddled through with presales, delayed payments to contractors, and borrowing from banks and other sources.
DeepL翻訳:中国の開発業者の回復力を「今年最大のサプライズのひとつ」と表現したグラデル氏は、不動産会社は予約販売、請負業者への支払い遅延、銀行などからの借り入れで乗り切ったと述べた。
Reuters
この例文の「予約販売、請負業者への支払い遅延、銀行などからの借り入れ」に「muddle」のごちゃまぜ感が出ていて良い例文だと思います。不動産業者としてはたまったもんじゃないのでしょうが。
以上、「muddle」と「muddle through」でした。