今日の英単語:gadget (gǽdʒit)
「語彙問題完全制覇」の参考書では「(便利な)道具、装置」という意味、Weblioでは、「(家庭用などの)気のきいた小物、ちょっとした機械装置」という意味です。日本語でも「ガジェット」と言いますね。英語の発音は「ギャジ」です。
日本語の文脈でも「【2022年】おすすめガジェットまとめ!ベストバイの便利アイテムを厳選紹介」みたいなウェブサイトがすぐ見つかりますが、パソコン周辺の機器、装置に主に使用されている印象を受けます。
英語の文脈ではどうでしょう。Vocabulary.comの説明を見てみましょう。
The remote control your brother rigs up to the Christmas tree is a gadget, and your camping tool that folds out into various knives, corkscrews, and scissors is another kind of gadget. The original spelling was gadjet, and it’s thought to have originated in the 1850’s as sailors’ slang, meaning any mechanism or ship part that either lacked a name or whose name had been forgotten. It may be rooted in the French gâchette, “piece of a mechanism.”
DeepL翻訳:お兄さんがクリスマスツリーに取り付けたリモコンもガジェットですし、折りたたんでナイフや栓抜き、ハサミになるキャンプ道具もガジェットの一種です。もともとの綴りはgadjetで、1850年代に船乗りのスラングとして、名前のない、あるいは名前を忘れてしまった機構や船の部品を意味したのが始まりと考えられています。フランス語のgâchette(機構の一部)がルーツである可能性もあります。
Vocabulary.com
やはり、パソコン周辺だけではなく、様々な「(便利な)道具、装置」がガジェットなんですね。「名前のない、あるいは名前を忘れてしまった機構や船の部品」が「gadget」であったことからも、「gadget」が広い意味を持っていたことがわかります。Sentencedict.comの例文を見ていきましょう:
She has invented a nifty little gadget for undoing stubborn nuts and bolts.
DeepL翻訳:彼女は、頑固なボルトやナットを外すための気の利いた小道具を発明したのだ。He opened the desk drawer and took out the remote-control gadget and clicked the set to life.
DeepL翻訳:机の引き出しを開けて、リモコンのガジェットを取り出すと、カチッと音を立ててセットを起動させた。The gadget can be attached to any vertical or near vertical surface.
Sentencedict.com
DeepL翻訳:このガジェットは、垂直または垂直に近いあらゆる面に取り付けることができます。
最初の例文で「gadget」が「小道具」と訳されていますね。「nifty gadget」(気の利いた小道具)で「頑固なボルトやナットを外す」ので、この「gadget(小道具)」もパソコン周辺のものではないことがわかります。
ニュースの文脈で「gadget」がどのように使用されるのかを知りたくて「gadget news」で検索してみましたが、新しい「ガジェット」を紹介するサイトばかり出てきてあまりいい例文が見当たりません。
私としては「gadget」の語源である「名前のない、あるいは名前を忘れてしまった機構や船の部品」という元々の意味が気になります。
従って語源をもっと掘り下げてみるため、Wikipediaで「gadget」を調べてみます。「名前のない、あるいは名前を忘れてしまった機構や船の部品」の他にも興味深い事実が見つかりました。
Oxford University Pressが出版している、Notes and Queriesという学術ジャーナルの1918年10月号に以下の記述があることをWikipediaで知りました(日本語訳を最初に持ってきました。英語版まで読まなくてもいいかもしれません):
DeepL翻訳:1916年、デボンシャー協会のプリマス会合で、この単語を地方語のリストに入れるべきだという意見が出され、議論が起こりました。数名の委員は、全国で一般的に使用されていることを理由に、その収録に反対しました。その場にいたある海軍士官は、「この言葉は、正確な名前がわからない、あるいは忘れてしまった道具や器具を指す言葉として、長年にわたって海軍でよく使われてきた」と述べています。また、オートバイ仲間から、オートバイの装備品にこの言葉が使われているのを私はよく耳にしました。「彼のハンドルバーがガジェットで埋め尽くされている」とは、スピードメーター、ミラー、レバー、バッジ、マスコットなどがハンドルに取り付けられているということです。ビリヤードで使う「キューラック」や「レスト」もよく「ガジェット」と呼ばれます。また、地元の板金屋が仕事の正確さを調べるために使う「ゲージ」も「ガジェット」と呼ばれています。実際、現在の陸軍のスラングを借りれば、「ガジェット」は「どんな古いもの」にも適用されます。
A discussion arose at the Plymouth meeting of the Devonshire Association in 1916 when it was suggested that this word should be recorded in the list of local verbal provincialisms. Several members dissented from its inclusion on the ground that it is in common use throughout the country; and a naval officer who was present said that it has for years been a popular expression in the service for a tool or implement, the exact name of which is unknown or has for the moment been forgotten. I have also frequently heard it applied by motor-cycle friends to the collection of fitments to be seen on motor cycles. ‘His handle-bars are smothered in gadgets‘ refers to such things as speedometers, mirrors, levers, badges, mascots, &c., attached to the steering handles. The ‘jigger’ or short-rest used in billiards is also often called a ‘gadget‘; and the name has been applied by local platelayers to the ‘gauge’ used to test the accuracy of their work. In fact, to borrow from present-day Army slang, ‘gadget‘ is applied to ‘any old thing.’
Wikipedia
「名前のない、あるいは名前を忘れてしまった機構や船の部品」の他に、バイクの「スピードメーター、ミラー、レバー」や「ゲージ」などなどに「gadget」が使用されてきたわけです。ビリヤードのキューを置くための棚さえ「ガジェット」です。さらに、「どんな古いもの」さえ「ガジェット」なんて・・・。
まさに、様々な、あらゆる、機器、道具、装置、アプリが「gadget」と呼ばれる理由が「gadget」の語源を調べるとわかってきます。
現在の「gadget」の方が使用する幅が狭くなったようです。