今日の英熟語:scrape by
「出る順で最短合格! 英検®1級 語彙問題完全制覇」の参考書では「かろうじて生計を立てる」という意味、Weblioでは、「かろうじてその人の存在を維持する」という意味です。「語彙問題完全制覇」の参考書には類義語として、「get by」と「make ends meet」も紹介しています。
sentencedict.comで以下の例文を見つけました。
1. We’re barely scraping by on my salary.
sentencedict.com
DeepL翻訳:私の給料でやっとこさ生活しています。
2. I can just scrape by on what my parents give me.
DeepL翻訳:親からの仕送りで何とかやっていける。
3. Borrowing money from friends and relatives helped him to scrape by.
DeepL翻訳:友人や親戚からお金を借りて、なんとかしのいでいた。
DeepLが翻訳した1の「やっとこさ」には微笑んでしまいました。「scrape by on what my parents give me」を「親からの仕送りで何とかやっていける」と訳すDeepL翻訳には感動を覚えますが、「~で生計を立てる」と言いたい場合は「scrape by on」と、「~で」の部分に「on」を使用することもわかります。
コロナ禍で追い詰められた状況から「何とかしのぐ」ニュースがあるかもしれません。
「scrape by」をタイトルに含む記事が見つかりました:
Coronavirus In Ohio: Craft Brewers Scrape By With Creative Solutions
wosu.org
DeepL翻訳:オハイオ州でコロナウイルスが発生。クラフトビールメーカーが創造的な解決策で乗り切る
‘I can’t get a single present’: millions in US barely scraping by amid holidays
The Guardian
DeepL翻訳:「プレゼントひとつもらえない」:米国では何百万人もの人々が休暇中にやっとの思いで生活している。
コロナ禍でこういうニュースを毎日のように見ていた気がします。
「Japan faces balancing act over virus clusters among foreign nationals」(DeepL翻訳:外国人のウイルスクラスターをめぐる日本のバランス感覚)という2020年11月の記事の中では:
Those barely scraping by, then, tend to recoil at seeking what they’re worried might become expensive medical treatment until the eleventh hour, by which time the virus may have already spread among their families.
Japan Times
DeepL翻訳:そのため、かろうじて生活している人々は、高額な医療費になることを恐れて、土壇場になるまで治療を受けることをためらいがちで、その時にはすでに家族の間でウイルスが蔓延している可能性がある。
2020年11月というのは時期的に全世界がコロナに振り回されていた頃ですから、上記のような状況が世界各地で起こっていたわけです。DeepL翻訳は「until the eleventh hour」を「11時になるまで」と訳していたので、「土壇場になるまで」に変えました。
「scrape by」の意味はイメージ出来てきました。「make ends meet」はどうでしょうか。Weblioでは「収支を合わせる、収入の範囲内でやっていく」、という意味なので、日本語の「何とか」や「やっとこさ」の意味はあまりないように思います。若干、ドライな感じでしょうか。
例文を読んでいると、「make both ends meet」(収支を合わせる)という例が多く見られたので、フレーズ検索にアステリスク「*」をつけて、「”make * ends meet” news」で検索してみます。こうすることによって、検索結果で「*」の部分に一語だけ自由に単語が入ります。
「Dutch cricketer works as food delivery guy to make ends meet」(DeepL翻訳:オランダのクリケット選手、生活費を稼ぐためにフードデリバリーとして働く)というタイトルの記事を見つけました。本文中にも:
The 27-year-old bowler, who last played against Zimbabwe in June 2019, revealed that he is working as a food delivery guy to make his ends meet during the lockdown.
TrueScoop
DeepL翻訳:2019年6月のジンバブエ戦を最後にプレーしていない27歳のボウラーは、ロックダウン中の生活費を稼ぐためにフードデリバリーの仕事をしていることを明かしました。
「*」の部分に「his」が入って「make his ends meet」をGoogleは拾ってくれました。例文には圧倒的に「make both ends meet」が多いことが分かりましたが、「make his ends meet」が可能ならば、「make your ends meet」もあるわけです。「”make your ends meet” news」で検索してみます。
「How Will You Make Your Ends Meet in this Economy?」(DeepL翻訳:この不況の中、どうやって生活費を稼ぐか?)というタイトルの記事を見つけました。冒頭の段落を引用します:
Due to the strict lockdown caused by the pandemic, most people worldwide suffer while managing their finances. Many people are losing their income sources, and those who have managed to work somewhere face difficulty making ends meet. However, it doesn’t mean that you start losing hope. Still, you can manage your finances and make your ends meet in this economy.
All Wallet
DeepL翻訳:パンデミックによる厳しい締め付けのため、世界中のほとんどの人が経済的な問題に悩まされています。多くの人が収入源を失い、どこかで何とか働いている人も、生活するのが困難な状況にあります。しかし、だからといって希望を失ってはいけません。この不況下でも、家計を管理し、生活を成り立たせることは可能です。
コロナ関連の記事ですね。やはり「make ends meet」というのは「収入」と「支出」という両方の「end」を「meet」させるという意味であることが分かります。
「語彙問題完全制覇」の参考書は「get by」も紹介しているので、「get by」も少し触れておきます。Weblioでは「通り抜ける、(…で)何とかやっていく、(人の)目を逃れる、うまくだます、(出来はよくないが)何とか通用する、まあまあ認められる」という意味です。なかなか広い意味を持つ熟語であるように思います。
「”get by” news cnn」で検索すると、「How to get by in Beijing without a wallet」(DeepL翻訳:北京で財布を持たずに生活する方法)のように、「生活する」と訳せる例も見つかったので、この「get by」はいろいろな意味で「うまく、くぐり抜ける」という意味で使用されるようです(CNN)。
「get by」と比較して、「scrape by」や「make ends meet」は経済的な状況だけで使用される熟語であることがわかります。