今日の英熟語:gloat (ɡlóut) over
「出る順で最短合格! 英検®1級 語彙問題完全制覇」の参考書では「~を満足して眺める」という意味、Weblioでは「ほくそ笑む、さも満足そうに眺める、悦に入る、小気味よさそうに眺める」という意味であるとしています。Weblioで「gloat」だけで意味を調べても、「(…を)さも満足そうに眺める、小気味よさそうに眺める」とあり、ほとんどの例文が「over」とセットになっているので、「gloat」は「over」とセットで使用する単語、と覚えたいところです。「語彙問題完全制覇」の参考書では動詞の章でも「gloat」が取り上げられています。
まずは「”gloat over” sentence examples」で検索するとdictionary.cambridge.orgで下記のような例文が見つかります:
The leaders of the campaign will gloat over what they have achieved.
dictionary.cambridge.org
DeepL翻訳:キャンペーンのリーダーは、自分たちが達成したことをほくそ笑むだろう。
I do not gloat over the situation.
DeepL翻訳:ほくそ笑んでいるわけではありません。
「”gloat over” news」で検索してみます。ndtv.comで:
Victorious Taliban Gloat Over Ruins Of CIA’s Afghan Base
ndtv.com
DeepL翻訳:勝利したタリバンがCIAのアフガン基地の廃墟にほくそ笑む
というタイトルの記事を見つけました。記憶に新しいですね。
今度は過去形にして「”gloated over” news」で検索してみます。mercurynews.comで:
College scandal: Six months for Atherton financier whose wife, daughter gloated over cheating
mercurynews.com
DeepL翻訳:大学の不祥事 妻と娘が不正行為でほくそ笑んだアサートンの金融業者に6ヶ月の刑
というタイトルの記事を見つけました。第一段落が以下です:
An Atherton financier whose wife and older daughter were said to have gloated over her test cheating in the college admission scandal was sentenced Wednesday to six months in prison for his role in buying his daughters’ ways into elite schools through a corrupt admissions consultant.
mercurynews.com
DeepL翻訳:大学入試のスキャンダルで、妻と長女がテストの不正をほくそ笑んでいたとされるアサートンの金融業者が、不正な入試コンサルタントを通じて娘たちをエリート校に合格させるために果たした役割に対して、水曜日に6ヶ月の禁固刑を言い渡されました。
不正入学出来てラッキー、とほくそ笑んだものの、不正がばれてしまったということですね。この「gloat」が心理学の文脈でどのように使用されるのか気になったので、「gloating psychological」で検索してみたら、「gloat factor」という言葉を見つけたので「gloat factor」をフレーズ検索してみました。
The Economic Timesでそのまま「The Gloat Factor」というタイトルの記事を見つけました。第二段落を以下に引用します:
One’s tendency to enjoy watching someone experience a misfortune is gloating. The literature on sociology, also refers to social comparison — a process by which we keep comparing ourselves with others of a similar standing on various aspects like education, status, possessions, etc. The pressure on us to make our children accomplished in life, where material success is the ‘be-all-end-all’ may also trigger the gloat factor within us. The more familiar a person in terms of comparable standing, the more intense is likely to be one’s gloating at the misfortune of the other, as explored by sociologists. Envy, a psychological trait, while on the one hand may improve one’s performance, but on the other worsen one’s tendency to gloat. According to Psychology Today, the result is the activation of a part of the brain that creates a flow of dopamine, a chemical responsible for pleasure. Anything that triggers dopamine gets addictive.
The Economic Times
DeepL翻訳:誰かが不幸に見舞われるのを楽しむような傾向はgloatingです。社会学の文献では、社会的比較-学歴、地位、所有物など様々な側面で、同じような立場の他人と自分を比較し続けるプロセスにも言及しています。物質的な成功が「全て」である人生において、子供を成功させなければならないというプレッシャーも、私たちの中にある「ほくそ笑む」要素を誘発するかもしれません。社会学者が研究しているように、同等の地位にある親しい人ほど、相手の不幸をほくそ笑む傾向が強いようです。妬みという心理的特性は、一方では自分のパフォーマンスを向上させるかもしれないが、他方では、ほくそ笑む傾向を悪化させるかもしれません。Psychology Todayによると、その結果、快楽をつかさどる化学物質であるドーパミンの流れを作り出す脳の一部が活性化されるのだといいます。ドーパミンを誘発するものはすべて、中毒になります。
要するに「ほくそ笑む」のは良くないことなんですね。ではどうすればいいのか、下記のように「ほくそ笑んでいる」自分を意識化しなければならないようです:
Being aware of the intent to gloat and acceptance of the feeling whenever it surfaces, is one of the prerequisites in one’s arduous journey towards detachment in a world that is full of sensory gratification.
The Economic Times
DeepL翻訳:ほくそ笑むことを意識し、それが表面化したときにそれを受け入れることは、感覚的な満足に満ちた世界で無執着になるための困難な旅の前提条件の1つである。
上記の記事はロバート・スミスさんの「The Joy of Pain」という書籍を紹介するために書かれた記事です。この「The Joy of Pain」の副題が「Schadenfreude and the Dark Side of Human Nature」(DeepL翻訳:シャーデンフロイデと人間の本性の暗黒面)です。Wikipediaによると「シャーデンフロイデ」というドイツ語の意味は「自分が手を下すことなく他者が不幸、悲しみ、苦しみ、失敗に見舞われたと見聞きした時に生じる、喜び、嬉しさといった快い感情。」です。日本語で言えば「シャーデンフロイデ」の意味は「他人の不幸は蜜の味」ですね。
「gloating」も「シャーデンフロイデ」に近い意味を持つのかもしれません。
余談ですが、妻がカナダで心理学のクラスを受講したときに「他人の不幸は蜜の味」が教科書で紹介されていて、生徒たちにどういう意味?と聞かれたそうですが、北米の人には分かりづらい感情なのでしょうか。カナダでも雑誌の表紙を眺めれば、全く関係ない人々の不幸でいっぱいでしたが。
「gloating」も「シャーデンフロイデ」もやめた方がいいですね。やめるにはまず意識化です。